※本家仲間の織方さんより頂きもの。ビリグラと見せかけてアレです。


あの青に触れる日を。





「宙は好かない」
戦闘宙域に向かう途中、誰にともなくそう呟くと、通信機の向こうで苦笑する気配が感じられた。
「へえ、どうしてだい?」
目の前に広がるのは、塗りつぶしたような闇。さまざまな色で瞬く星々は確かに美しいと感じるが、それだけだった。
「フラッグには空の青が似合う。そう思わないか、カタギリ」
電子機器の光が照らす薄暗い操縦席の中で、あの目の覚めるような青さを想う。
青空の中を飛んでいると、まるで機体と自分が空の一部になったように感じることがあった。
一瞬の恍惚と、心地好い解放感。自分はファイターであり、同時にパイロットなのだと実感する。
誰よりも空が好きだから、誰よりも長い時間を飛行していた。今の自分は、その積み重ねの結果でもある。
吸い込まれるような青。自分はとにかく、あの青さが好ましいのだろう。
だから彼に会った時、自分は彼に惹かれたのだと今更ながらに納得する。
彼の瞳は、ひどく澄んだ空の青と同じ色をしていたから。
「とにかく、宙は好かない」
はっきりそう告げると、ふうんと気のない返事を返した相手は一転して笑ったような声で、それならグラハム、と声をかけてきた。
「振り返って自分の背後を見てみなよ」
「背後?」
グラハムは言われたとおりフラッグを旋回させる。モニターに映った光景に、思わず「ああ、」と吐息のような声がこぼれた。

 

なんて美しい、あお。


地上から見上げても、宙から見下ろしても、世界は変わらず美しい。そこに暮らす者たちがどんなに醜い争いを繰り返しても、世界は変わらない。世界の美しさはそのままで。
その青を背にして、宙へ飛び立つ。
「悪くないな」
「だろう?」
この宙の先には、世界を変えようと必死にもがいている者がいる。その彼と対峙しようとする自分が、変わらない世界を背に飛び立つことは当然のことであり、同時に何故かひどい皮肉のようにも感じられた。
あの青は、彼の瞳と同じ色。触れようと近づけども、叶うことのない青。
「どんなに望んでも、眺めることしかできないのだな」
「想い続けることはできるだろう?」
「だと良いのだが」
そう答えながら、けれどどうにもならないことを誰よりもよく知っていた。知っていて、それでも自分は願うのだ。







―――あの青に触れる日を。
本家仲間でハムの(中のひと萌えの)お嬢さんこと織方誠さんの初00で葛生さんの誕生日プレゼントで「これをハムロクと言い張って許されるのかしら」(本人談)です。騙されました。ふつうにユニオン萌えだと思ってました。油断しまくってました。一読してちょっと待って!と思って確認したら、「最終話直前あたりを意識して書いてました」って……ちょ、ちょっと待…って。待って……!_orz
ほんとにもう、ほんっとうにもう、本家のひとたちってどうしてこうも容赦ないの…!(号泣)
でも、最終話直前でもハムがまだロッくんと対峙する気で出撃する、ということはハムはロッくん戦死を信じてないってことで…、と、自分を慰めてみる。(われながら痛々しい)(知らないだけとかいうオチはなしの方向で)(…涙)
え、ええと、こ、れからもハム萌えで語らいましょ、う…。
20080422拝領/0507掲載